変形性膝関節症とは
変形性膝関節症とは老化に伴い関節構成体の変性・破壊をきたし、関節機能の障害に至る複合的な疾患です。関節のクッションである軟骨がすり減ってしまい痛みが生じます。骨のすり減りにより、骨のへりに骨棘というとげのような突起物ができたり、関節を覆う関節包と呼ばれる線維膜に炎症が起こると関節液が分泌され、いわゆる「水がたまった」状態になります。
原因
退行性変性
老化に伴い、筋肉量の低下による関節軟骨への持続的な負担によって変性・摩耗を引き起こします。
身体的な原因
膝関節は体重を支えるために重要な関節です。歩行時では体重の3倍、階段昇時には体重の7倍の負荷が掛かると言われています。特に体重の急激な増加には注意が必要です。さらに女性に多く診られるのも特徴で、股関節の形状やホルモンの影響が考えられます。
肥満
膝まわりの筋力で体重を支えきれず関節への負担が大きい
女性>男性
男性に比べて筋力が少なく、特に閉経によって軟骨形成に作用するエストロゲンが減少する
O脚
膝の内側が狭くなり軟骨が擦れやすく摩擦が大きい
症状
初期では立ち上がりや初動時の痛みを主症状としますが進行していくと、正座や歩行も困難になります。炎症が強いものだと安静時にも痛みを感じることもあります。
【初期】
歩き始めの1〜2歩目や立ち上がった瞬間に痛みを感じる『動作開始時痛』があり、動作を続けることで痛みが軽減します。
【中期】
動作中の痛みが続くようになり、痛みの場所がはっきりとしてくる。特に膝の内側やお皿の周りに痛みを感じます。
【末期】
膝の曲げ伸ばしが困難になり、安静時も痛みを感じます。腫れや水が溜まり、変形をきたすこともあります。
治療法
長期的な治療は運動療法です。
徒手療法
疼痛緩和と筋緊張の除去、膝関節の可動域拡大を目的とし、関節部、大腿部、下腿部に施行します。
- スポーツマッサージ
- 関節モビライゼーション
- 鍼灸治療(鍼通電療法)
包帯での圧迫固定やテーピングによる関節保護と筋発揮のサポートで膝関節の負担を減らします。
膝関節周囲の積極的な筋力強化と柔軟性を高める事を目的とし、並行して膝関節の安定性バランスよく強化します
- 膝関節の可動域訓練
- 膝関節周囲筋、臀筋群の筋力強化
- 柔軟性の向上
- 体幹、バランス能力の向上
- 歩行動作などの身体操作訓練
【ランジ】
膝周囲の筋力強化と体幹、殿部の強化が可能なエクササイズ